不動産管理会社について

2022/11/24

2022/12/22

不動産管理会社の形態

不動産管理の方法について大きく3つに区分されます。

管理委託方式
大家である個人から、不動産管理の委託を受ける方式です。
管理会社の業務は、物件の清掃、点検、入退去手続き、物件の修繕等です。
仕組みは単純ですが、受け取る管理料は物件収入の6%~10%程度となります。
一括借り上げ方式(サブリース方式)
個人が所有している不動産を不動産管理会社が一括して借り上げて、不動産管理会社が、入居者と直接賃貸契約を締結します。
空室のリスクを不動産管理会社が負うことになり、リスクもあるので、物件収入の10%~15%程度の管理料になります。
第3者との契約変更等の手続きが発生します。
不動産所有方式
個人所有の不動産を不動産管理会社に売却し、設立した不動産管理会社は地代を別途個人に支払する方法です。
所得移転の効果は一番高くなります。
デメリットは建物の所有権移転手続きや不動産取得税等の移転にともなうコストの発生です。
不動産所有方式の場合には資金調達が問題になります。
自己資本から調達する場合、資本金1,000万円超になると均等割りの税金も7万円から18万円に上がります。

税率

所得税は累進課税で所得が多くなればなるほど税率が高くなります。所得が増えてきた場合には法人税との税率差を考えて法人を設立した方が節税になります。

所得税・住民税

課税される所得金額 税率 控除額
以下
195万円 15% 0
195万円 330万円 20% 97,500
330万円 695万円 30% 427,500
695万円 900万円 33% 636,000
900万円 1,800万円 43% 1,536,000
1,800万円 4,000万円 50% 2,796,000
4,000万円 55% 4,796,000

※所得税と住民税を一律10%として加算した金額。この他に復興所得税2.1%がかかります。

法人税の実効税率

年所得 実効税率
2019年10月1日~
以下
400万円 21.4%
400万円 800万円 23.2%
800万円 33.6%

※法人税の実効税率は法人税、住民税、事業税の税率のすべてを考慮した税率です。
※中小法人(期末資本金の額が1億円以下)の場合。
※住民税、事業税の超過税率を適用せず、事業税の軽減税率適用法人として計算しています。

節税対策

不動産管理会社を設立することによって、節税対策の選択肢は増えます。

  • 収入の少ない家族を役員・社員にして、報酬を支払します。所得税、住民税等の負担額が少ないことから、節税の効果が高くなります。
  • 小規模企業共済(会社等の役員の退職金等を準備する制度です。個人で加入します。掛金上限7万円。)
  • 倒産防止共済(不測の事態に直面した時に資金調達ができる制度。掛金上限20万円。40ヶ月以上の積立で解約の際は100%返還されます。)
  • ある年度で損失が出た場合、その損失を翌年度以降の所得と相殺して申告することができます。
  • 個人事業の場合純損失の繰越は3年間ですが、法人の場合10年間繰り越すことができます。

相続

不動産管理会社の株式は相続財産になります。

  • 不動産のオーナー以外の者が出資者になると不動産管理会社の株式は不動産オーナーの相続財産にはなりません。
  • 不動産管理会社を通じて、オーナーの収入を減少させて、家族の方に役員報酬として所得を移転することにより、相続税の負担を減らすのと同時に、納税資金を確保できます。

デメリット

  • 会社設立の費用がかかります。登録免許税や定款の認証手数料等で株式会社で25万円程度、合同会社で11万円程度の金額が必要です。この他にも資本金を準備する必要があります。
  • 社会保険への加入が義務付けられます。
  • 役員変更登記、社会保険、労働保険の手続き、会計処理、申告等の事務負担が増加します。
  • 法人化すると、会社の財産と個人の財産は明確に区分される為、会社のお金を自由に使用することはできません。
  • 赤字であっても最低70,000円の住民税均等割額が発生します。

株式会社と合同会社について

(1)経営者

株式会社は出資者と経営者は別、合同会社は出資者が経営者になります。

(2)業務執行

合同会社は業務執行社員の過半数で決定するため、持ち分の割合に比例しません。

(3)相続

合同会社の社員は、死亡によって退社し、相続人は原則して社員とはならず持ち分の払い戻し請求権を有します。相続人に持ち分を相続させるためには、定款に相続人が持分を相続する旨の定めを記載する必要があります。

無償返還の届出書について

(1)借地権

借地権とは、建物の所有を目的とする地上権又は土地の賃借権を いいます。
地主が個人で、借地人が法人の場合借地権が発生します。

(2)無償返還の届出書

借りている法人が将来その土地を無償で(本来であれば立退き料をもらえる)個人に返還するという届出です。
この「無償返還に関する届出書」を提出する事により、借地権利金の認定課税を免れることになります。

(3)契約書に無償返還の旨記載

賃貸借契約書に「土地の使用後は無償で返す」と明記します。

(4)貸宅地として評価できる

地代として固定資産税の2、3倍程度の地代を設定することにより、将来、個人に相続が発生した場合その土地について自用地評価×80%の評価とすることができます。(土地所有者が土地の利用の制限があるため)
無償もしくはほとんど対価がない使用貸借契約の場合には自用地評価額で評価します。

(5)小規模宅地等の特例の適用

地代を設定した場合、小規模宅地等の特例の適用があります。
特定同族会社事業用宅地なら400㎡までにつき80%の評価減。
貸付事業用宅地なら200㎡までにつき50%の評価減。

(6)同族会社の株式の評価

土地所有者が同族法人との間で賃貸借契約を締結し(使用貸借契約を除く)、土地の無償返還に関する届出書を提出している場合で、土地所有者と同族法人の株主が同一の場合には、同族法人の純資産価額の計算上、借地権として自用地評価額の20%を算入することになります。
ただし土地所有者と同族法人の株主が異なる場合は同族法人の評価に借地権評価額を加算する必要がありません。

この記事の監修

亀川貴之

亀川税理士事務所
税理士亀川 貴之(かめかわ たかゆき)

平成25年税理士登録
税理士事務所勤務を経て、平成28年7月、亀川税理士事務所設立。
クラウド会計freeeに特化し、不動産オーナー、
中小企業の経営サポートを行っている。

不動産オーナーのパートナーとして。

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